こんにちは、予防歯科とインプラント・審美歯科で大切な歯を守る愛媛県松山市余戸伊藤歯科医院、院長伊藤泰司です。
昨日は日曜日にも関わらず、歯科医師会館4階で午前中は骨粗鬆症のスクリーニングに関する講演会、午後からはパノラマX線読影研修会がありました。
講師はパノラマX線写真による骨粗鬆症診診病診連携システムの構築に携わっておられる愛知県歯科医師会の橋本雅範先生と、パノラマX線写真による骨粗鬆症患者のスクリーニングの第一人者である松本歯科大学歯科放射線学講座教授田口明先生です。
橋本先生には、愛知県におけるパノラマX線写真による骨粗鬆症診診病診連携推進事業について具体的な取り組みを講演していただきました。
わが国の骨粗鬆症患者数は人口の10分の1に当たる1200万人と言われています。そのうちの約200万人の人しか通院加療されていません。
多くの骨粗鬆症患者は診断されないため、無自覚のまま骨折リスクがある状態で生活されていることになります。
そのため、できるだけ早期にこの疾病を見つけ出して、骨折の発症を防ぐことが今回の事業の目的です。
日本全国で歯科医院に受診されて治療目的に撮られる年間のパノラマX線写真は1000万枚にもなると言われています。
そのパノラマX線写真を用いて骨粗鬆症の予備判定が可能となってきました。
特に概ね50歳以上の閉経後の女性では骨粗鬆症のリスクが高いと言われています。
それは閉経後に起こる卵巣機能の低下により骨代謝に関わるエストロゲン分泌が低下するためです。エストロゲンが欠乏すると全身の骨密度の低下により顎骨の骨密度が減少してきます。
このようなリスクのある方を医科に早期に診断していただき、骨粗鬆症による骨折を未然に防ぎ、更には健康寿命の延伸に繋げていきたいと橋本先生は言われていました。
午後からの田口先生のパノラマX線読影実習にあたり説明がありました。
読影は概ね50歳以降の歯科疾患で診断目的で撮影されたパノラマX線写真の下顎骨下縁皮質骨部でオトガイ孔より遠心、下顎角から前方で左右の悪い方を指標とします。
そのX線像が、皮質骨全体に渡り、高度な線状の吸収と皮質骨の断裂が見られる所見(Class3、3型)がみられた時には、ほぼ94パーセントの確率で骨粗鬆症もしくは骨量減少という診断結果が得られています。
該当者には十分な説明と同意を得た上で医療機関(整形外科・内科・産婦人科等)へ情報提供し、骨粗鬆症の診断および治療を依頼します。
このように、歯科医師が骨粗鬆症のリスクを早期に発見して、医科への受診を促すことは、骨折のリスクを減少させ、健康寿命を延伸させ社会貢献に役立つものであると講演されました。
愛媛県歯科医師会でも平成20年よりこのような事業が取り組まれています。
今後は、当院へ来院された患者様のパノラマX線写真を骨粗鬆症のスクリーニングという観点から再度見直していきたいと思います。
今日の講義を聴講し、骨粗鬆症をスクリーニングする大切な役割を歯科医師は担っているのだと改めて感じています。