こんにちは、広報・受付担当トガワです。
前回口腔機能低下症の診断基準についてお話しました。
今日は、診断基準の項目を詳しくご紹介していきます。
まずは『1.口腔不潔』についてです。
口腔不潔とは、高齢者の口腔内で微生物が異常に増加した状態のことをいいます。
口腔内で微生物が増加すると、唾液中の微生物数も増加し、誤嚥性肺炎や術後肺炎、口腔内感染症などを引き起こすといわれています。
検査方法としては、細菌カウンタとい計測器を使う方法や、視診により舌苔付着程度を計測します。
舌に着いている細菌数は、唾液中の細菌数と相関関係があるといわれています。
口腔不潔は、微生物を測定するだけでなく微生物数を減少させるために、その原因となり得る因子も測定することが必要となります。
口腔不潔の因子としては、舌苔や入れ歯の歯垢(プラーク)、歯の衛生状態や口腔乾燥の程度、唾液量などが挙げられます。
しかしこれらすべてを測定するには、患者さんの負担や時間的、経済的な負担などもあり、シンプルで簡便かつ迅速な方法として、計測器を使った方法もしくは舌苔の視診が基準として作成されました。
次は『2.口腔乾燥』についてご紹介します。
口腔乾燥は、口腔内の異常な乾燥状態、あるいは乾燥感を伴った自覚症状が現れる状態をいいます。
口腔乾燥があると、消化管組織の保護をはじめとした生体の恒常性を保つ機能が欠落して、さまざまな障害が引き起こされます。
口腔乾燥は、器質的障害や多剤併用の副作用としてもたらされる機能的障害という側面とともに、包括的な口腔機能低下全般の前駆症状としても注目されています。
脱水、唾液腺の器質的障害、唾液の分泌機能障害といった著しい唾液分泌量減少だけでなく、唾液分泌量の低下がなくても、口腔内水分の主たる供給源である唾液の分泌量の減少、加齢などによる組織の保湿能や水分量の減少、口呼吸や開口による口腔内水分の蒸発の促進が問題となっています。
では次回も口腔機能低下症の項目についてお話していきます。