こんにちは、予防歯科とインプラント・審美歯科で大切な歯を守る愛媛県松山市余戸伊藤歯科医院、院長伊藤泰司です。
今日は愛媛県歯科医師会会員の発表学会がありました。
日常診療における症例報告、臨床のヒント等生の声で聞こえてきますので毎年楽しみにしています。
それに先立ち、午前中は「三叉神経に生じた医原性神経麻痺障害に対する診断と治療」と言う題目で和歌山県立医科大学附属病院口腔顔面外科学教授藤田茂之先生の特別講演がありました。
この講演の内容が実に素晴らしくて、明日からの埋伏智歯の抜歯に直ぐにでも応用できる内容でした。
当院は、埋伏智歯抜歯の依頼が多く、ほぼ毎日のように行なっております。
幸いにも、今まで下口唇の麻痺や舌の麻痺のような重篤な偶発症を起していません。
今後もきちんと基本に則り、事故や偶発症を起さないように、心がけたいと思います。
今回の講演は万一、下顎智歯抜歯後やインプラント埋入後に偶発症として生じた下口唇の麻痺や舌の麻痺に対する考え方や、処置方法、さらには専門医に紹介するタイミングや照会先について詳しく講演していただきました。
三叉神経は12対ある脳神経の一つであり、第Ⅴ脳神経ともいわれます。この神経は眼神経、上顎神経,下顎神経に分かれます。特に下顎神経の枝分かれである下歯槽神経と舌神経が本日のターゲットです。
神経損傷時の治療には薬物療法といてビタミンB12などよく経験的に用いられているが、エビデンスは見当たらす、ステロイド剤の大量投与のみがエビデンスとして認められています。
理学療法としては星状神経節ブロックを2週間内に週3日の割合で行なうと効果があるといいます。
外科的治療としましては、顕微鏡下で縫合手術を行なっていきます。
藤田先生はこの手術のスペシャリストでありますので、万一不足の事態になった場合は先生の下へ照会して欲しいとのことでした。
術後3ヶ月を目処に回復の兆候が無い場合には専門医への照会が大切です。もちろん手術時に下歯槽神経,下神経損傷を視認した場合は緊急に専門医へ照会することは言うまでもありません。
智歯抜歯における神経損傷の予防方法としましては、下顎骨最後臼歯部舌側の水平的断面の形態を常に触診にて確認しておくこと。
第二大臼歯遠心から舌側の骨は大きくえぐられていることを常に念頭に置くこと。
切開を第2大臼歯の遠心から更に後方に施すときには,筋突起(外斜線)に沿って延長すること。
その部位にメスを入れるときも一気に骨膜まで入れないこと。
頬側切開と歯肉溝切開でほとんどの場合剥離は出来るはずだから、むやみに遠心へ切開を入れないことなどを強調されていました。
続いて、午後からは会員発表会です。今年は例年以上に盛り上がった発表であったと思います。
私の属しているインプラントスタディーグループ松山のN先生のチタンメンブランを用いたGBRの症例報告は特に興味深い内容でした。
皆様、ご苦労様でした。