こんにちは、審美歯科とインプラント・ホワイトニング・予防歯科で大切な歯を守る愛媛県松山市余戸伊藤歯科医院、院長 伊藤泰司です。
先週の日曜日、歯科医師会館で『口腔癌検診スキルアップセミナー』が開かれました。
夏の暑い1日でしたが約80人ほどの先生方が熱心に最後まで聴講されていました。
講師は愛媛大学歯科口腔外科教授浜川裕之先生をはじめ住田知樹先生、医局の先生方の指導の下行なわれました。
なぜ、このようなセミナーが開催されたかと言うわけは教授の講演でわかりました。
現在日本では年間約8000人もの人が口腔癌に罹患しています。30年前の統計と比較して約3倍に増加していてこのままでは10年後には1.5倍に増えると予想されます。
欧米など先進諸国では国を挙げて癌対策に取り組んできましたから、罹患率は高いのですが、死亡率は減少傾向にあります。
日本のみが逆行しているわけです。
それはアメリカなど先進諸国では国を挙げての積極的な口腔癌対策による、早期発見・早期治療が徹底しているからだと言われています。
各地にある基幹病院・基幹施設が中心となり、国民の口を見る一番機会のある歯科医師や衛生士等の教育をして啓発活動をしているからです。
翻って今の日本の体制はどうかと言いますと、肺がん・乳がん・胃がん・大腸がん・子宮がんの5大がんは検診の対象となっていますが、口腔癌は現在対象になっていません。
口腔癌の検診の有効性をもっと行政に働きかけていき、国民には口の中にも癌ができることを知ってもらい、口腔癌検診システムを構築することが、口腔癌で死亡する人を少なくすることになります。
口腔癌は消化器癌のうち、唯一視診・触診が可能な癌であり、所属のリンパ節の触診も可能です。
進行癌の治療では特にQOL の低下が著しい結果になりますから、早期発見・早期治療がとても大切だと言えます。
『口腔癌を見つけけるのは歯科医の職務である』という強い信念で明日からの臨床に臨みたいと思います。
講義は午前中は口腔癌について疫学から始まり診断・治療・予後までのお話がありました。
午後からは実際に口腔癌検診の手順と参加者の相互検診による実習がありました。
その後、上級編として5例のロールプレイによる口腔疾患診断実習を行ないました。
実践的な内容で明日からの診療に是非取り入れていこうと思います。