こんにちは。
伊藤歯科医院歯科衛生士のイシカワです。
日本は地震や台風などの自然災害が多い国です。
災害が発生するとライフラインが寸断され、水や電気が使えなくなることがあり、避難生活が長期化することもあります。
そのような状況では食料や水の確保が最優先されがちですが、入れ歯を使用している人にとっては適切な口腔ケアが非常に重要で災害時にも快適に過ごせるように普段から備えておくことが大切です。
1. 義歯の清潔を保つための用品
避難生活では水の確保が難しく、義歯を十分に洗浄できないことがあります。義歯が不衛生になると、口腔内の細菌感染のリスクが高まり、誤嚥性肺炎の原因にもなります。そのため、できるだけ少ない水でも洗浄できるアイテムを用意しておきましょう。
●義歯洗浄剤（錠剤タイプが便利）：水が少なくても除菌・洗浄が可能
●義歯専用ブラシ：通常の歯ブラシよりも効率的に汚れを落とせる
●義歯保管ケース：外したときの紛失防止や清潔な保管に役立つ
2. 口腔内を清潔にするための用品
災害時には水不足により歯磨きが十分にできず、口腔内の細菌が増えやすくなります。口腔内の健康を維持するために、次のような代替手段を準備しておきましょう。
●歯ブラシ＆歯磨き粉（フッ素入りがおすすめ）：部分入れ歯の人は特に重要
●ウェットティッシュや歯磨きシート：水が使えない場合の代替手段
●マウスウォッシュ：うがいが難しい時でも口腔内を清潔に保てる
3. 義歯の装着や乾燥を防ぐための用品
避難生活では食事の回数が減り、水分摂取も不足しがちです。その結果、口腔内が乾燥しやすくなり、義歯の装着が不快になったり、口腔トラブルが発生しやすくなります。
●義歯安定剤（入れ歯安定剤）：避難生活では義歯がずれやすくなるため
●口腔保湿ジェルやスプレー：口腔乾燥症対策、特に高齢者に有効
●無糖ののど飴やキシリトールガム：唾液の分泌を促し、口腔内の健康維持
4. 水の確保
義歯の洗浄や口腔ケアのために、飲料水を確保しておくことも大切です。
●飲料水（最低でも500ml～1Lを確保）：義歯の洗浄や口腔内の保湿に必要
5. 予備の義歯（可能なら）
過去の震災では、義歯を紛失・破損したことで食事が困難になり、体力が低下する被災者が多くいました。スペアの義歯を用意しておくと、万が一の際に役立ちます。
●スペアの義歯（避難用の簡易義歯を準備しておくとよい）
6. 持ち運びやすいポーチや防災バッグ
これらのアイテムを一つにまとめ、防災バッグに入れておくことで、避難時にすぐに持ち出せるようにしておきましょう。
東日本大震災（2011年）や熊本地震（2016年）では、避難所での生活が長期化し、口腔ケアが不十分になったことで誤嚥性肺炎を発症する高齢者が多くいました。義歯を適切に管理し、口腔内を清潔に保つことが、健康を守る上で非常に重要です。
阪神・淡路大震災（1995年）では、避難時に義歯を紛失し、食事が困難になった被災者が多くいました。食事ができないと栄養不足や体力の低下につながるため、義歯保管ケースを活用し、予備の義歯を準備しておくことが大切です。
避難所では水不足や環境の変化によって、義歯の洗浄や歯磨きが不十分になりがちです。しかし、口腔内が不衛生になると、細菌が増殖し、全身の健康状態にも悪影響を及ぼします。そのため、水が不足していても口腔ケアを行えるよう、マウスウォッシュや歯磨きシートを準備しておくことが重要です。
義歯を使用している人にとって、災害時の準備は単なる「便利グッズ」ではなく、健康を維持し、命を守るための備えです。過去の震災で起きた問題を教訓に、義歯洗浄用品や口腔ケアグッズ、水の確保、予備の義歯などを準備しておきましょう。特に高齢者の方は、避難時にスムーズに持ち出せるよう、防災バッグにまとめておくことが重要です。日常生活の中で防災意識を高め、いざという時に困らないよう、今すぐ準備を始めましょう。
