こんにちは、愛媛県松山市伊藤歯科医院の院長伊藤です。
今日は、歯科医師会館で『口腔がん検診研究会』がありました。
土曜日午後にも関わらず100名近い先生方が熱心に聴講されていました。
テーマは「地域の歯科医師が取り組む口腔癌検診」です。愛媛大学医学部付属病院歯科口腔外科教授浜川先生による講演でした。
1981年以降日本人の死亡原因は、癌が第一位になっています。口腔癌は癌全体の中では珍しく1パーセント強です。そのため、身近に患者さんがいないせいか、あまり関心が持たれていません。かろうじて舌癌が知られているくらいです。でも癌は、身体のどこからでも発生するものだという事を認識してください。年間8000人以上が罹患し、先進国ではわが国においてのみ罹患率が増加傾向をしめしています。性別による発症頻度は男性のほうが女性の約2倍多く発症しています。好発年齢は60代、50代、70代の方によく見られ、他の領域の癌とほぼ同じ傾向で発症します。発生部位は舌癌(30%)ついで下顎歯肉癌(16%)、口底癌(10%)、上顎歯肉癌(8%)、頬粘膜癌(8%)と続きます。
口腔癌の特徴はなんと言っても自分で発見できることです。他の領域の癌に比べ膨らんできたり、赤くただれたり、潰瘍になったり色々な顔を持っています。いつもと様子が違うことに気づいたならば、かかりつけの歯科医で見てもらい、専門医を紹介してもらうことが大切なことです。開業医に出来る口腔癌の診断法として有効なのが、発病の時期、発病の部位、発病の状態、現在までの症状の推移を問診したり、口腔・頚部の視診・触診をしたりすることです。癌の予防には癌にならないよう生活習慣を改善する一次予防と、早期発見・早期治療である二次予防があります。口腔癌の二次予防には検診制度の確立が必須であると、浜川教授は唱えています。患者様と日々直接診療時にお口の中を観察できる地域の歯科医師こそ口腔内診察のエキスパートといえます。伊藤歯科でも初診時、リコール時の患者様の口腔粘膜診査を更に詳しく観察して、口腔がん検診のスクリーニングに活用していきたいと思います。