こんにちは、広報・受付担当トガワです。
前回、化粧療法を実施すると「食べる」ことにも変化があらわれてきたとご紹介しました。
まず大きな変化がみられたのは、食事動作です。
高齢者施設で化粧療法を実施すると、食事動作の自立度が向上したそうです。
具体的には、介護療養型医療施設の90歳代の入院患者さんで、化粧療法を実施すると自分でお椀が持てるようになったそうです。
この理由として、化粧療法の動作を行う筋負担の大きさが影響していると考えられています。
人間工学的な手法を用いて化粧動作分析を行うと、三角筋、上腕二頭筋、総指伸筋、浅指屈筋、第一背側骨間筋の5つの筋肉が化粧動作に重要であることがあきらかになっています。
化粧容器を持ったり、開け閉めしたり、容器から押し出したりするには握力にかかわる浅指屈筋や総指伸筋、第一背側骨間筋が使われます。
また顔面への塗布動作時には肩や肘の関節屈折にかかわる三角筋と上腕二頭筋が使われます。
これらの筋肉は、物を握る・持つ・動かすといった上肢を使った食事や更衣のような基本的な日常生活動作に必要な筋肉でもあります。
高齢者の場合、化粧動作時の筋負担はリハビリの領域で、筋力維持に必要な付加に匹敵するというわれています。
また、要介護高齢者が化粧療法を実施すると、握力が向上することが確認されています。
さらに、食事動作と化粧動作を比較そた結果、スキンケアやメイキャップは、食事動作の約2~3倍の筋力や関節可動域を使う動作であることもあきらかになっています。
これらの結果から、高齢期の化粧動作は上肢の筋力トレーニングにもつながるので、いつまでも「自分で食べる」ことを維持するための対策として、化粧療法がひとつの有効な対策と考えられています。