こんにちは、予防歯科とインプラント。ホワイトニング・審美歯科で大切な歯を守る愛媛県松山市余戸伊藤歯科医院、院長伊藤泰司です。
今日は、朝から暖かな日差しに包まれ、春らしい陽気になりました。
歯科医師会館4階ホールでは、くれなゐ塾主宰内藤正裕先生の講演がありました。
「今、伝えておきたい事―修復とインプラント―」という演題です。
内藤正裕先生は神奈川大学客員教授・日本審美歯科学会理事・日本咬合学会指導医・トロント大学歯学部アドバイザーなど要職に就かれておられ、多忙な日々を送られています。
また、山崎長朗先生、本田正明先生と並び日本の臨床家の3大巨匠といわれています。
そのような高名な先生が松山で講演していただけることは大変喜ばしいことだと思います。
かねてより当院では簡単な歯科材料は通販であるKOデンタルで購入することがありますが、その会社の月刊誌であるケーオーニュースで何年か前より臨床のヒント―これからの臨床―というテーマで内藤正裕先生が連載を出されていました。
毎月記事を見るのが楽しみで、その内容に興味を持ち機会があれば内藤先生の講演をお聞きしたいと思っていた矢先でした。
今回の講演の内容もその記事の内容と随分重なる点があり大変興味深く拝聴することが出来ました。
前半ではヒトは進化の過程で獲得した咀嚼器官の本質や自然科学により咬合とはどのようなものかというお話でした。
ちょっと重たくなる内容でしたが皆さん熱心に聴講されてました。
4人の歯科医師がいれば5つの咬合理論があるといわれるほど、咬合は理解し難い問題です。
そのようになった経緯として、咬合は全身の骨格や姿勢、機能にも影響を与え、この点は非常に定性化、定量化しにくい部分です。
感覚的な分野であるため自説の主張と修復の臨床的な変化を検証されていない点が大きな課題であると内藤先生は指摘されていました。
また、「ヒトは肉体的構造と社会的背景と心理状態のユニットである」といわれます。
臨床経験の長く常にヒトとは何かを考えられている内藤先生ならではの含蓄のある言葉だと思います。
後半は力のコントロールとインプラントへの適用のお話でした。
オーバーロードがあることにより歯牙には様々な兆候が出てくることが分かりました。
面白いことに「歯牙はコンタクトの磨耗と共に生涯を通じて、前方移動をいながら近心傾斜を続け、叢生はより強調される」ことが長年の経過を観察することにより分かってきました。
インプラントを埋入し補綴をしても天然歯とのコンタクトが次第に経年的に開いてくることはインプラントが天然歯で起こる変化に取り残されてきていると考えれば説明がつくことになります。
しかしそのようになる咬合理論が様々な問題を山積しているため、インプラントは益々混迷の一途をたどっていると内藤先生は指摘されていました。
確かにこのような臨床所見は遭遇することではありますが、それが咬合に由来することが少なからず分かったことは非常に意義深い講演であったと思います。