こんにちは、広報・受付担当トガワです。
前回加齢によってむし歯が増加するというお話をしました。
今回もその続きをお話していきます。
学齢期には永久歯が生え始めるので、乳歯のむし歯管理が重要となります。
たとえば、乳歯に治療をしてないむし歯があると、そのむし歯から唾液中にミュータンスレンサ球菌が大量に放出されます。
そのため、無菌状態で生えてくる永久歯の噛み合わせの溝にミュータンスレンサ球菌が真っ先に飛び込みそのまま定着・感染します。
乳歯は「どうせ生え変わるから」、とむし歯のまま放置していると次に生えてくる永久歯をむし歯にしてしまう原因となるのです。
「中年期」「高年期」以降は歯周病による歯の根っこの露出が始まり、それにともない根元のむし歯のリスクが増大します。
セメント質と象牙質が露出した根元は、歯の表面のエナメル質よりもはるかに中性側で脱灰しやすくなります。
また、高齢になると全身的な疾患により定期的に服用する薬剤が増加し、その副作用で唾液の分泌が低下することが多いです。
そのためむし歯のリスクがさらに高くなります。
歯周病もライフコースでのヘルスケアが必要な疾患です。
歯肉炎は歯周組織に潰瘍面を生じさせる病気で、この潰瘍は普通の傷とは違って、歯面のバイオフィルムを除去しなければいつまでも治ることはありません。
そのため、潰瘍面からバイオフィルム細菌が血中に侵入して、歯周病から菌血症を引き起こすようになります。
この菌血症は、生活習慣病のリスク因子であるといわれています。
歯周病が炎症性サイトカインを放出することで、間接的に動脈硬化を引き起こす経路も報告されています。
動脈硬化の影響は、血圧だけでなく体内の臓器すべてに悪影響を与え、生活習慣病の発症につながると考えられています。
歯周病のライフコースヘルスケアが必要であるもう一つの理由は、遺伝子の制御異常の存在です。
DNAの特定の位置にある塩基にメチル基の付加状態の違いでがん細胞が生じることが明らかになってきたのです。
このDNAのメチル化のトリガーを引くものの中に、歯周病によって産生される炎症性サイトカインがあります。
この対策として、糖尿病やがんの抑制遺伝子が早期にメチル化されないように学齢期からの歯肉炎の予防が大切なのです。