こんにちは、予防歯科とインプラント・審美歯科で大切な歯を守る愛媛県松山市余戸伊藤歯科医院、院長伊藤です。
今日は、少し高度な埋伏歯の抜歯のお話です。去年のピエゾサージェリーdeインプラントに続きます。
患者S様、当院へ1年ぶりに来られました。右上顎8番の埋伏歯の抜歯をしていただきたいとのことです。
パノラマレントゲンを見ると、右上顎の親知らず(8番)がかなり骨内上方に埋伏しているではありませんか。これは少し高度な難症例です。
聞くと、4本埋伏歯があったのですが、3本は日赤病院で抜いていただいたとのこと。残りの今回問題を起した1本は「症状が出てからでもいいじゃないですか」といわれたそうです。
確かにその通りだと思います。無理に抜くのは出来るだけ避けたい症例です。
患者S様が日赤病院へ電話をすると担当の先生の予約は大変混んでいるため、抜歯は2月中ごろになるとのことです。それで困って当院へ来られました。
S様が言われるには、2年前から少し変だとは思っていたのですが最近、右の顎が開閉するたびに鈍痛があるとのこと。また右側の頭がすっきりしなくていつの頭痛に悩まされていたとのことです。
日赤病院の先生には以前「症状が出てくるようなら抜かなくてはいけませんが、この歯は抜くと2週間近くかなり腫れますよ」と指導されていたらしく、S様も抜けるものならそのくらいは我慢しますと言われたそうです。
とにかく2月中ごろまで毎日痛み止めを飲まないといけない生活が続くのは嫌ですから、体調はとてもいいから 今日でも抜けるものなら抜いて欲しいと切実に訴えての来院です。
S様からこれほどまで抜歯を希望されるため、要望に応えて早速ピエゾサージェリーで抜歯です。
このところ毎日ピエゾサージェリーが大活躍いています。ピエゾサージェリーを使うと切開ラインはほとんど要らなくなります。
歯冠の一部が見えていたためそこからまずゼックリアで歯冠に起支点をつけていきます。あとはチップで切断です。
7番に当たっている歯冠の一部を取り出せるとあとはそんなに難しい抜歯ではなくなります。
歯根に意識を集中させて歯槽骨の間を滑らせるようにチップを当てていきます。
するとどうでしょう。歯根がかすかに動揺してきました。あとは通常の抜歯です。
それにしても歯根の長い歯が出てきました。
抜歯窩を良く見るとサイナスの後壁が見えています。シュナイダー膜の一部が呼吸と共に動いていることを確認しました。
つい先日も上顎8番埋伏歯を抜歯した時にもシュナイダー膜が動いていることを確認したばかりです。
今回はパノラマレントゲンで抜歯後を確認して完了です。
ここまで30分間。ちょっと自分としては時間のかかりすぎた不満の残る抜歯でした。
でも明日の抜歯後の症状が楽しみです。