みなさんこんにちは。伊藤歯科医院です。
「大人になったら、乳歯はすべて永久歯に生え変わる」
多くの方はそう思われているかもしれません。
しかし、大人になっても乳歯が抜けず、そのまま永久歯の代わりとして立派に働き続けているケースがあります。
これを「永久代行歯(えいきゅうだいこうし)」と言います。
なぜ大人になっても乳歯が残るのか?
通常、子どもの成長に伴ってあごの骨の中で永久歯が育つと、乳歯の根っこ(歯根)を少しずつ溶かしていきます。
根っこがなくなった乳歯はグラグラになり、自然と抜け落ちて、下から永久歯が顔を出します。
これが通常の生え変わりです。
しかし、何らかの理由で「生まれつき永久歯が作られない(先天性欠如)」ことがあります。
下から押し上げてくる永久歯がいないため、乳歯の根っこが溶かされず、そのまま大人になってもお口の中に残り続けます。
これが永久代行歯ができる主なメカニズムです。
特に、下あごの小臼歯(前から5番目の歯)や、上の前歯(側切歯)によく見られます。
永久代行歯の寿命と注意点
「永久歯の代わりをしてくれるなら、そのままでいいのでは?」と思われるかもしれません。
確かに、しっかり噛めていて健康であれば、無理に抜く必要は全くありません。
しかし、どうしても大人の歯に比べると根っこが短く、構造もデリケートです。
大人の強い噛み合わせの力に長期にわたって耐えるのが少し苦手です。
また、乳歯は永久歯よりもエナメル質や象牙質が薄く、デリケートです。
大人になってから虫歯になると、あっという間に神経まで達してしまうことがあります。
こうした理由から、一般的に永久代行歯の寿命は30代〜40代頃までと言われることが多いですが、中には50代、60代になっても現役で元気に使い続けられている方もたくさんいらっしゃいます。
大切なのは「丁寧なケア」と「現状把握」
もしご自身の歯に永久代行歯がある場合、少しでも長く持たせるための秘訣は「とにかく丁寧に扱うこと」です。
日々のブラッシングで汚れを溜めないようにすることはもちろん、歯医者さんでの定期的なチェックとクリーニングが欠かせません。
噛み合わせの負担が強すぎる場合は、少し削って高さを調整することもあります。
また、「自分の歯が代行歯かどうか分からない」という方も、歯科医院で全体のレントゲン写真を撮影すれば一目で判明します。
もし将来的にその乳歯が寿命を迎えてグラグラになったり、抜けてしまったりした場合でも、インプラントやブリッジ、矯正治療など、そのスペースを補うための選択肢はたくさんありますので、決して心配しすぎる必要はありません。
まずは「自分の口の中の個性のひとつ」として正しく知り、優しくケアしてあげてくださいね。
気になる方は、ぜひお気軽にお尋くださいね。
