こんにちは、広報・受付担当トガワです。
要介護状態の高齢者の方は、口を動かすことが減ってくるため、口を触られることに過敏になってくるそうです。
そうなってくると口腔ケアでさえ拒否されるようになります。
それらの症状を和らげていくことを脱感作といいます。
脱感作がどのようなものかというと、リラックスできる環境をつくって、爪や指、腕などの口より遠い部分から接触をしていき、緊張をほぐしていきます。
そして、徐々に口に近づいていって、最終的に口腔内のケアに繋げていくというものです。
前回ご紹介した化粧療法は、この脱感作の手法として有効だと考えられているそうです。
最近では、メイクやネイルなどの「おしゃれ」を楽しむことで、QOLが高まるケースがあるという化粧療法に注目が集まっているそうです。
脱感作の具体的な内容は、リラックス効果のある香りが配合されたマッサージクリームを用いて、手指や腕などのケアを行い、指先から腕へのケアを実施します。
次にスキンケアで顔全体のケアをして、ポイントメイクに眉や目元、頬を彩って、そして口紅を用いて口元へのアプローチをしていきます。
これらを段階的に実施していくことで、口に対する意識を高めることができると期待されています。
鏡を見ながら口紅を塗ることと、鏡を見ながら歯を磨くことは、自分の口に意識を集中させる点で似ている行為といえます。
どちらも、「口をきれいにする」ために整容行為なのです。
これが自分の口に関心をもつ動機づけに有効であるといわれています。
心理学的に、スキンケアは鏡を通じて自分への関心を高める”対自的機能”で、メイキャップにはきれいになることで他者を意識する”対他的機能”をもつといわれているそうです。
化粧療法はこの機能を用いて、口に対する関心をもつきっかけづくりや口腔ケアへの取り組み意欲の向上につなげることが期待できます。
そしてなによりも、「粧う」を通じて、自分への自信や自分らしさを維持、取り戻すきっかけにもつながることが望まれています。