こんにちは、技工士のナカムラです。
どんなに完璧な総義歯を製作したつもりでも、長期使用していれば、「義歯がはずれやすくなった」、「物がはさまるようになった」とか、「噛みにくくなった」、さらに「噛むと痛い」といった不都合が生じてきます。
それらの原因には生体側における変化と義歯側における変化があります。
それは、それぞれ独立した原因であることは少なく、両者が複合して事体を悪化させている事が多いようです。
それらのほとんどに生体側の変化として、顎提の吸収が関わっています。
高齢者においては新しい環境への適用が難しいとの理由から、使用中義歯の新製には慎重になります。
そこで義歯を新製するのではなく、顎提吸収に対して義歯の粘膜面を補修するということをします。
顎提吸収は継続的に進行します。
そして、上顎よりも下顎で大きいようです。
一般に維持・安定が得にくい下顎において垂直的には年間0.4~0.5㎜の顎提吸収が進行していきます。
骨の吸収は口腔内の要因と全身状態の要因の合算として現れます。
口腔内の要因とは、義歯の良否の事です。
不出来な義歯は動揺が大きく、その動きが骨の吸収を早めます。
全身の要因とは、患者さんの全身疾患の有無で、骨粗鬆症や糖尿病などがあると骨吸収が早まります。
上顎は口腔内の要因が大きく、下顎では全身状態の要因がその多くを占めているとされています。
身体の為には口から食べるという事は大切です。
入れ歯は人間の身体の一部と考えれば毎日のケアをお願いしたいと思います。
今年最後のブログとなりました。
一年間ありがとうございました。