こんにちは、技工士のナカムラです。
生体組織はほとんどが、粘弾性体に類似した挙動を示します。
咀嚼、嚥下などのような瞬間的な力に対しては、歯根膜繊維、顎提粘膜の弾性成分はすぐに元にもどりますが、持続的な力に対してはすぐに戻りません。
つまり、生体組織にに常に負荷がかかっていると、それが弱い力であったとしても、組織の回復に時間がかかります。
場合によっては組織の破壊がおこるとも考えられますから持続的な力は生体にとって為害性があることを患者さんに認識してもらう必要があります。
歯が接触している時間は、1日24時間のうち20分程度といわれています。
長時間の歯の接触は、顎関節、歯、歯周組織に為害作用を及ぼすものとして、従来夜間ブラキシズムが注視されてきました。
最近ではTCH(歯が接触した瞬間からくいしばりを自覚するまで自覚できない)と呼ばれる習癖も、顎関節症の原因ばかりでなく、義歯性疼痛、歯の慢性交合痛、歯周病の悪化、充填物・補綴物の脱離、歯冠歯折などの原因になることが示唆されています。
TCHはブラキシズムの1つで、覚醒時ブラキシズムとして分類されています。
噛み締めていることを自覚しにくいので、まず、患者さんに気づいてもらうことが大切です。
患者さんに、普段からかみしめていないかを尋ねると、ほとんどがかみしめていないと答えます。
ところが、1日24時間のうち、歯が触れている時間はどのくらいらいだと思いますかと聞くと、TCHを疑う多くの患者さんで10時間くらいとか20時間くらいと答えます。
聞き方を変えるだけで、患者さんはこちらの話に耳を傾けてくれます。
気づくことによって、行動変容療法が可能になります。
このような患者さんの多くは安静時の舌の位置が低い為、正しい舌の位置を知ってもらうことも大切になります。