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唾液の力

みなさん、こんにちは。伊藤歯科医院です。

風邪をひいたときや口が乾いたときに、「味がしない」「何を食べても美味しく感じない」という経験はありませんか?

実はその“味覚の不調”の裏には、唾液の働きが深く関わっています。

唾液は単なる潤滑剤ではなく、私たちが味を感じるために欠かせない存在なのです。

味覚は、舌の表面にある味蕾(みらい)というセンサーが、食べ物の成分をキャッチすることで成立します。

ただし、味蕾が直接食べ物を感じ取るわけではありません。

まず、食べ物の中の味成分――甘味・塩味・酸味・苦味・うま味など――が唾液に溶け出し、その“溶液”を舌が感知することで初めて「味」として認識されるのです。

つまり、唾液がなければ味成分は舌に届かず、味覚は働きません。
さらに唾液には、味覚を補助するだけでなく、口腔内を清潔に保ち、細菌の繁殖を防ぐ抗菌作用もあります。

食事中に分泌される唾液は、食べ物の温度や質感を調整し、飲み込みやすくする役割も果たしています。

唾液が十分に出ていないと、食べ物がパサついて感じられたり、味がぼやけてしまったりするのはそのためです。

高齢者や薬の副作用、ストレスなどで唾液の分泌が減ると、味覚障害や口腔乾燥症につながることがあります。

最近では「ドライマウス」という言葉も広まり、唾液の重要性が見直されつつあります。

水分補給や口腔体操、よく噛む習慣など、唾液を促す工夫は日常生活の中でも取り入れやすい予防策です。

「味を感じる」という何気ない感覚の裏には、唾液という名脇役の働きがあります。

食事をするときは、ぜひその存在に少しだけ意識してみてください。

おいしさの陰には、唾液の見えないサポートがあるのです。

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