こんにちは、広報・受付担当トガワです。
歯肉炎や歯周炎などの歯周病を放置すると、歯周組織から口腔細菌が血流に入る「歯原性菌血症」が引き起こされます。
歯周病から発症する歯原性菌血症は、血管の炎症を通して全身的な慢性炎症を引き起こします。
たとえば妊婦さんの歯周病は、低体重児出産を招くと考えられています。
妊婦さんで歯周病や菌血症があると、陣痛を誘発する炎症性物質であるプロスタグランジンの過剰産生により低体重状態で生まれると言われています。
また、歯周病に起因する炎症性サイトカインの産生が胎児の遺伝子プログラミングに影響を与えていることが予想されています。
次にむし歯に関するライフコースのお話です。
5歳から32歳までの個人のむし歯の変化をみた研究では、むし歯の指標であるDMFSが12歳以降も加齢とともにライフコースで増大することが報告されています。
学齢期に、むし歯が多いグループと中程度のグループ、低いグループの3グループに分類すると、学齢期にむし歯が多いグループはその後もむし歯が急速に増加するのがわかります。
むし歯は加齢とともに増加するので生涯にわたるむし歯のケアが必要です。
超高齢化社会では、歯周病に合併して発症する根元のむし歯の増加が懸念されています。
(実際に糖尿病にともなう根元のむし歯のリスクの増大が報告されています)
むし歯のリスクは、歯のエナメル質が未成熟な生え始めほど高いので、乳歯の生え始め、6歳臼歯の生えは始め(5~6歳)、第二大臼歯の生え始め(12歳)頃がむし歯になりやすい時期といわれています。
むし歯の原因菌であるミュータンスレンサ球菌の感染時期は生後19カ月から31カ月の間に集中することが報告されているため、この時期は「感染の窓」と呼ばれています。
ミュータンスレンサ球菌の感染媒体は唾液で、その感染経路の多くは養育者から幼児への垂直感染です。
ミュータンスレンサ球菌は砂糖の摂取により感染力が著しく高まるので、乳幼児期の早期感染の防止には砂糖制限が必要です。
では次回もミュータンスレンサ球菌のお話しの続きからしていきます^^