こんにちは、広報・受付担当トガワです。
人の生涯を通して慢性疾患の罹患の生物学的リスクは、経済的、社会・心理学的因子と互いに影響し合っているというライフコースの視点が注目されています。
小児期や青年期の食事、喫煙、運動状況などは成人期の疾病リスクの高位と関係します。
学齢期の歯肉炎のリスクは成人期の歯周疾患のリスクといえます。
ライフコースとは、人生の過程を記述・説明しようとする学際的研究分野で、健康学、発達成長学、心理学、社会学、人口統計学、人類学、生物学で学際的に研究されるようになりました。
ここでいうライフコースとは人生のことではなく、人生上の出来事についての時期、移行期間、感覚、順序に見られる社会的パターンのことです。
ライフコース疫学は、上記の社会的パターンに注目して疫学的に分析する疫学研究の分野です。
ここで最初の一文に戻ります。
なぜ慢性疾患とライフコースが関係してくるのでしょうか。
たとえばある研究から、低出生体重が長期に影響を与え、成人に達すると心臓病のようなある慢性疾患を経験する機会が多いことが明らかになってきたのです。
ライフコース疫学の視点では、生涯を通してその人の社会的な背景や環境とのかかわり合いに重点を置いて、その人の社会的進展や進み具合における重要な時期をグループ化することや、要素が継続的に蓄積することに対する善し悪しを評価することになります。
ライフコース疫学の研究法には、観察時点から後戻りする方法(遡り法)、ある時点から追跡していく方法(追跡法)、記録から個人の過程を復元する方法(復元法)があります。
また社会変動と人間発達の記述で、年齢、時代、コーホートの3つの効果があります。
一方でライフコースアプローチというものがあります。
ライフコースアプローチは、健康、人間発達、加齢の研究の学際的な枠組みを示すものです。
人の発達における重要な時期を示し、特にその人の生涯における健康の水準や人との健康格差を決定することになるものです。
お口の健康でいうと、ストレスが多い人生の出来事(たとえば離婚など)が歯周疾患状態に大きな影響を持つことが明らかになっています。
ライフコースの視点は、健康格差への取り組みや社会的弱者を支援・守ることに関係し、健康づくりや社会福祉的な支援の時期や性質と密接な関係にあるのです。