こんにちは、広報・受付担当トガワです。
前回まで、麻薬ががん治療の鎮痛薬として処方されるよいうお話をしました。
麻薬といえば、依存症になる心配がありますよね。
炎症性疼痛や神経障害性疼痛に対して、オピオイド鎮痛薬を適切に使用した場合は、精神依存はほとんど問題にならないことがあきらかにされています。
一方で、身体依存はがん疼痛治療に用いた場合でも形成されます。
オピオイド鎮痛薬を急激に中止すると退薬症候を発現する可能性があるので、漸減するなどの注意が必要です。
またオピオイド鎮痛薬は、過量投与すると鎮痛耐性が形成され、反復投与で鎮痛効果が徐々に減弱してしまうため、過剰にならないように注意しなければなりません。
オピオイド鎮痛薬の相互作用として、中枢神経抑制や吸入麻酔薬、三環系抗うつ薬、β遮断薬、抗ヒスタミン薬などと併用することで、相加的に中枢神経抑制作用が増強するため、呼吸抑制、眩暈、低血圧などに注意する必要があります。
また、抗コリン作用がある薬剤との併用で、重篤な便秘や尿閉を引き起こす可能性があります。
モルヒネとブプレノルフィン、ペンタゾシンを併用すると、モルヒネのオピオイド受容体への結合が阻害されて、効果が減弱するので併用は避けなければいけません。
一部食事の影響を受けるものもあります。
例えば高脂肪食摂取後に服用すると血中濃度が低下するものや、上昇するものがあります。
オピオイド鎮痛薬はほとんどが肝代謝なので、肝機能障害時には減量するか投与間隔を延長するようにします。
また、モルヒネが肝臓で代謝してできるM6Gは、鎮痛・鎮静作用があるので、肝機能低下時には蓄積して眠気の副作用が現れることがあります。
推算糸球体濾過量が44以下の場合には、モルヒネは使用しないほうが無難といわれているそうです。
麻薬だけに限らず、どのような薬でも量や頻度を誤ると身体に悪影響を与えます。
しっかりとお医者さんに指示された時間や量を守るようにしましょう!