みなさん、こんにちは。伊藤歯科医院です。
今ではすっかり定着したインプラント。見た目も自然で、しっかり噛めて、長持ちする。そんな理想的な治療法が、実は「ウサギの骨」から始まった…というお話です。
1960年代、スウェーデンの整形外科医ブローネマルク博士は、血流の研究のためにウサギの骨にチタン製の器具を埋め込む実験を行っていました。
ところが数週間後、器具を取り出そうとしたところ、チタンが骨と完全にくっついていて外せなくなっていたのです。
この現象は「オッセオインテグレーション(osseointegration)」と呼ばれ、チタンが骨と自然に結合する性質があることが判明しました。
これは医療界にとって大発見!
体に異物を埋め込むと拒絶反応が起こるのが普通ですが、チタンは骨と“仲良く”できる素材だったのです。
この性質を歯科に応用することで、骨に直接人工歯根を埋め込むインプラント治療が誕生しました。
1980年代には臨床応用が進み、世界中で普及。現在では、チタン製インプラントは高い成功率と長期安定性を誇る標準治療として定着しています。
つまり、ウサギの骨が教えてくれた偶然の発見が、歯科医療だけでなく整形外科や再生医療にも応用される技術の礎となったのです。
