こんにちは、審美歯科とインプラント・ホワイトニング・予防歯科で大切な歯を守る愛媛県松山市余戸伊藤歯科医院、院長伊藤泰司です。
以前の勉強会で「がんの薬物療法による口腔粘膜炎とケア」という冊子をいただきました。
この冊子は、静岡県立静岡がんセンター監修で、非常に重要なことがまとめられていました。
そこで今日はこの中から少し抜粋してお話していきます。
まず、がん薬物療法による口腔トラブルの原因から見ていきます。
抗がん剤は、がん細胞を殺す一方で、正常な細胞にもダメージを与えます。
このダメージによって起こる症状は、有害事象と呼ばれています。
正常細胞へのダメージは、とくに分裂が活発な細胞ほど影響が大きくなります。
分裂が活発な細胞として、骨髄細胞、毛囊細胞、消化管上皮細胞が上げられます。
口腔粘膜は、細胞学的に消化管上皮細胞と似た構造をしているので、この抗がん剤の影響を受けやすい部位のひとつであり、多くのトラブルが生じます。
口腔粘膜炎をはじめ、ヘルペスや口腔乾燥、味覚障害などの口腔トラブルがあります。
ほとんどのトラブルは、可逆的な変化で治療が終了すると症状が回復します。
口腔粘膜炎は、発症頻度が40~70%とされる、薬物療法に伴う口腔トラブルの代表的なものとなっています。
では次回は口腔粘膜炎の発症部位や症状のお話をしていきます。